Q 当社では、従業員の意識高揚、社会人としての心構え・マナー等の向上を目的として講演会を開催しようと思っております。
そこで、お話しを頂く講師の先生には謝礼以外に車代等の名目で交通費を別途お渡ししようと思います。ただ、交通費は報酬ではないので、当然源泉徴収の対象になるものではないと思っていたところ、合算して全体を報酬として源泉徴収が必要であるとお聞きしました。本当でしょうか?
A 講演料を行ってもらう講師の方に支払う報酬・料金は所得税の規定により、その支給額に10%(別途復興特別所得税が0.21%)の源泉徴収を行い差引いた後に支払うことになります。(支払額を先に決めて逆算して総支給額を決定する方法もあります。)
そこで、問題となるのは、報酬以外に交通費や遠方よりお願いした場合の宿泊料の取り扱いです。
もし、依頼する事業者側で例えば、新幹線等の切符、タクシーチケットを直接負担したうえで講師の先生に送付される又は宿泊先を指定して事業者側が宿泊費を直接負担したうえで講師の先生にご宿泊いただく場合などは、その金額が旅費等の費用として通常必要な範囲であると認められるものであれば、源泉徴収の必要はありません。
しかし、講師の先生が自己の選択で宿泊先を選び、一旦自己の負担で交通費及び宿泊費を出費し、依頼した事業者が当該出費に見合う交通費等を講師の先生に支払った場合、その金額を報酬の一部として考え、事業者が当該車代等に対しても源泉徴収する必要があります。
これは、実際に講師の先生が負担した交通費等と事業者側が支払った金額は必ずしも一致しないことがありますし、講師の先生は自己で交通費等の領収証を取得し経費として計上されることを考えれば、事業者側が支払った車代等を確実に報酬として把握するべきという趣旨があるのかもしれません。また、車代等を源泉所得税非課税にしてしまえば、例えば報酬及び車代等を合わせて10万円支払う場合、本当は8万円の報酬と2万円の車代等であるにもかかわらず、報酬2万円と車代等8万円と配分すれば源泉徴収する税額を減らそうと考えられる方もおられるかもしれません。国税当局サイドも色々課税漏れがないように緻密に考えているとゆうことでしょうか?
なお、講演料という定義には名目にかかわらず、実質で考えれば講演料に該当しないものも存在します。例えば講師という人に対する支出で実際は給与所得として源泉徴収することが妥当なケースも全くないわけではありません。その場合、税率や、受領したサイドの申告方法もかわってきますので、やはり、専門家たる、税理士さん等に相談してみましょうね。