Q 当社は不動産業を営んでおります。たまたま、行き付けの飲食店のマスターから「居住用の賃貸マンションを探している人がいるけど、相談にのってやってよ。」と知り合いを紹介いただき、幸いその方を自社が所有する物件を紹介したところ成約に至りました。そこで、知り合いのマスターにお礼の気持ちで家賃の二割程度の謝礼をお渡ししました。マスターにはそんなつもりはないといわれましたが、通常の他の不動産屋に紹介された場合より安かったので、マスターも、それじゃと領収証まで書いてくれました。この費用は紹介手数料として、経費に落としていいと思いますが、いかがでしょうか?
A これは、「情報提供料等と交際費等との区分」のおはなしですね。租税特別措置法通達に説明がありますので、読んでみましょう。
61の4(1)-8 法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供(以下61の4(1)-8において「情報提供等」という。)を行うことを業としていない者(当該取引に係る相手方の従業員等を除く。)に対して情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件の全てを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。(昭54年直法2-31「十九」、平6年課法2-5「三十一」により追加、平19年課法2-3「三十七」、平23年課法2-17「三十」、平28年課法2-11「三十一」により改正)
(1) その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること。
(2) 提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること。
(3) その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。
(注) この取扱いは、その情報提供等を行う者が非居住者又は外国法人である場合にも適用があるが、その場合には、その受ける金品に係る所得が所得税法第161条第1項各号又は法第138条第1項各号に掲げる国内源泉所得のいずれかに該当するときは、これにつき相手方において所得税又は法人税の納税義務が生ずることがあることに留意する。
さて、一行目からの「法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供を行うことを業としていない者」とは今回の飲食店のマスターが該当しますね。「情報提供等の対価として金品を交付した場合」とはお客さんを紹介してもらってお礼を支払った場合が該当しますね。ところで、次に3つの要件が問題になります。日ごろから、当社(不動産屋)がマスターに「うちの賃貸マンション入居希望者がいたら紹介してね。紹介料は家賃の二割払うから」として「不動産賃貸に係る紹介及び報酬契約書」なるものを契約書としてつくっていたら、(報酬額が適正化どうか?及び宅建業法上の規制の問題が残りますが。)通常の手数料として経費処理していて問題ないと思います。しかし、考えてみてください。そのような契約書を作成しているケースはなかなか、思い浮かばないのではないでしょうか?そこで、上記(1)(2)(3)に該当するケースにはならず、交際費等と判断されるケースが多いと思います。支払者が法人の場合、規模により一定の限度額計算により損金不算入となる場合があります。その場合でも(注)にありますように受領した側は所得として課税対象になります。ところで、この場合、相手がサラリーマンであった方に紹介の情報提供料を支払った場合などは支払った金額が20万以下であれば相手方は確定申告をしないケースもあります。だからとゆうわけではないのですが、必ず領収証をもらうようにするべきだと思います。(貰えない場合は税理士さんに相談しましょう。)また、この情報提供料が万一そのサラリーマンさんの所属する団体や法人等の業務に起因するものだった場合は大変です。支払った側は悪気がなくても、貰った方は本来勤務する法人等の収入とすべきものであったにもかかわらず、つい個人の労務の提供と勘違いしてケースによっては横領等の嫌疑をかけられることもないとは言えません。(例えば従業員が仕入先から高額の仕入れをする代わりの見返りに裏リベートを受領しているみたいなケースなどとも勘違いされるケースも否定できません。)大変デリケートな内容になることも多々あります。税法の解釈や民事、商事上の法律もからむこともありますので、顧問の税理士さんや、時として、法律関係士業(弁護士さん等)に相談されることもお勧めいたします。